ギターのRyoです。今回は、ジャニスの代表曲の一つムーブ・オーバーをやってみました。
この曲は彼女の遺作のパールの一曲目ですが、このアルバムは完成度が高く
ジャニスが目指していたものの志の高さを感じますね。
ジャニスの場合、色々ゴシップ的なネタや悲劇性のところがクローズアップされがちですが、ジャニスさんはほんとに歌が好きで音楽好きだったんだろうなと感じますね。
しかも、バンドサウンドへのこだわりもすごくあったのを感じます。
そのジャニスがこだわってあつめたメンバーだけあって、このアルバムのバンドであるフル・ティルト・ブギー・バンドの演奏もすばらしいんですよね。
もちろん、それまでのバンドもラフで好きですけど、これは違ったレベルに達してますね。「てらっ」とうまいので、あまり意識されることはないかもしれませんが、このバンドはかなりの腕達者があつまってるなと思いますね。まぁ、基本スタジオミュージシャンだった人たちらしいので、それはそうなんだろうと思います。音を聴けばそんな音してますもんね。ただ、それでもサウンドはバンドサウンドですし歌と相まってすごい相乗効果をだしてるなと思います。
歌のことは、別途、ボーカルのKaorinからコメントがあるかと思うので、そちらは譲るとして私はギターについて書きます。
この曲ですが、ギターソロが60年代当時としては恐ろしく完成度が高いと思うんですよね。
きちんとした構成があって、ソロが構築されているというか、起承転結がありますよね。
これを弾いたのは「ジョン・ティル(John Till)」ですが、彼は多分、ジャズやClassicからも影響を受けてるのかなと感じます。
冒頭は複音でハンマリング・オンでリズムに合わせて入り、その後、ブルースとかでよくある弾き方ドローン奏法(デルタブルースとかでサン・ハウスさんとかがやっていたような弾き方です)で展開が始まりますね。
ペンタトニックなフレーズが基本ではあるんですが、それだけではないし、真ん中あたりの早いパッセージのところは、運指がむつかしい、これはさすがに練習しました(笑)。
後半はリズムカッティングとフレーズを織り交ぜてコール&レスポンス的なところでまとめるみたいな。
いや、文章で読んでもわかりづらいですよね(笑)
しかし、いろんな奏法(どれも基本的な奏法ですが)を織り交ぜつつ、スリリングかつ音楽理論的にも理にかなったソロでもあるんですよね。
完成度の高いソロということでいえば、60年代屈指のソロかなと。いや勉強になります。
※この場合の完成度はアドリブぽくないという意味でです。
60年代のソロプレイの有名なものや名演はだいたいがアドリブだと思いますが、これは珍しく「構築された系」ですので、ちょっと珍しい部類に入るかもしれません。
ギターはおそらく335を使っているのかと思いますが(当時のライブ映像ではそうでした)、軽くミュートをかけて、かつはじくように弾いて、独特の跳ねるニュアンスをだしています。
335はTelecasterやStratocasterとは違って、どっちかというとモコモコした音に強みのあるギターですが、ピッキングのニュアンスの幅が色々出せるところが面白いですね(笑)。
ギター自体の音の立ち上がりはにぶいですが、それを弾き方でバランスとって弾いてます。
ちなみに、この曲をCoverしている演奏を聴くと、だいたい、歪み系の音色にして弾いている人が多いのですが、今回、私の方ではなるだけ原曲に近い感じで軽いクランチサウンドで音作りして弾いてみました。
ギタリスト目線でいえば、このソロの場合、80年代の主流の歪みくらいまで歪ませたら、弾きやすくはなるんでしょうが、この軽いクランチサウンドで粒のそろった音で弾きこなすには、指の力が必要だなと思います。
この時代のギタリストはアコースティックギターもかなりやっている人が多いので、指の強さや握力の強さを感じますね(余談ながら指には筋肉はないらしいですね)。
それでいて、まだ余裕があるというか、いっぱいいっぱいではないところが素晴らしいなと(笑)。
いや、かなりマニアックな感想ですみません。
私的には、まだ不満が残るところなのですが、言っていても切りがないので、これはこれで一旦公開しました。
まぁ、そのうち、もう少し研究を重ねてリベンジしたいところですが。
ジョン・ティルさんは、この後、それほど名前を残さずに業界から名前が消えてしまったのがもったいないですね。
ジャニスとの演奏がピークになってしまったんでしょうかね。そこは残念ですね。
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