『オール・シングス・マスト・パス』シリーズ、ようやく最終回です。
なぜここまでこのアルバムの制作過程やもろもろについて書いたかというと、そこが抜けると
なぜジョージ・ハリスンがこの大作を制作しようとしたかわからない。また、知ることでさらにこの作品への興味を持って頂けたら幸いだと思い述べました。
さて、最終回はアルバム収録曲についてお伝えするのですが、24曲もあるため、とてもではありませんが書ききれません。独断と偏見で選びましたことをご了承ください。(ナンバーはアルバムの曲ナンバーです)
まずはやはり①曲目、「I’d Have You Anytime/アイド・ハヴ・ユー・エニイタイム」
次第にせりあがっていくようなメロディが素晴らしいディランとの共作曲。ジョージの新しい旅立ちにふさわしいバラードですが、静かな中にも彼の強い信念が感じられる素晴らしい曲です。リードギターは盟友エリック・クラプトンが弾いています。
そして② 「My Sweet Lord/マイ・スゥイート・ロード」
もともとはビリー・プレストンへの提供曲でしたが、ジョージ本人もすぐさまレコーディング。アルバムからの第一弾シングルとしてリリースするや、英・米で1位に輝きました。
しかしシフォンズの「ヒーズ・ソー・ファイン」の盗作だとして訴えられ、結局「潜在意識による盗用」であるとして敗訴。しかしそんな騒ぎも全く感じさせない傑作です。とにかくアコースティックギターで始まり、ドラムやベースが突如フィルインしてくる中盤部の展開などはまさに完璧。
途中まで「ハレルヤ」と歌っていたコーラスは、後半「ハレ・クリシュナ」と変わりますが、「クリシュナ」とはヒンズー教の最高神のこと。神への信仰を歌ったこの曲が混乱と沈静の70年代初めにおいて多くの人の共感を得たのではないでしょうか。
③ 「Wah-Wah/ワー・ワー」
デレク・&ザ・ドミノスを中心とした演奏ですが、スペクターの「音の壁」に圧倒されます。ジョン・レノンの「ハウ・ドゥ・ユー・スリーブ?」同様、ポールとの確執をテーマとした、きつい内容のハードなナンバーなのに、ある種メロディアスな部分もあり、ジョージのただならぬ才能を感じさせます。
④ 「Isn’t It A Pity/イズン・イット・ア・ピティー」
前曲でパワー全開で盛り上がった後、一転してクールダウン。シンプルなメロディの反復をオーケストラが覆い、フィル・スペクターの過剰とも思える音の装飾がなされています。
来日公演でラスト近くで演奏するほど、彼にとっても重要な曲なのでしょう。ポールの「レット・ミー・ロール・イット」のような位置づけかな。
ここまでがアナログ盤でいえば一枚目のSide Aとなるわけですが、本当に緻密に計算された曲の並びだとつくづく感じます。
⑧ 「Let It Downレット・イット・ダウン」
かなり飛びまして、この曲もフィル・スペクターのド迫力「ウォール・サウンド」がイントロから迫ってきます。うちに秘めた恋心を歌うスローなボーカルパートが一転して、再びイントロの音の壁と激しいコーラスに変化するのが素晴らしい!
⑭ 「All Things Must Pass/オール・シングス・マスト・パス」
アルバム・タイトル曲。 ジョージが69年初頭のビートルズの『ゲット・バック・セッション』に持っていたものの、結局採用されずしばらく眠っていました。 しかし解散後、初のソロ制作にあたって、これをアルバム・タイトルとし、発表できたのはケガの功名というべきでしょうか。 仏教の「諸行無常」を歌ったジョージらしいナンバーですね。
アナログ盤では三枚目となるのが⑲~㉔のApple Jamと題されるジャム・セッションです。
デレク・アンド・ザ・ドミノスとのセッションあり、あのジンジャー・ベイカーがドラムを叩いていたり、とにかくこのディスク3が全く前の2枚と全く世界観が違う! 物凄い演奏がぎっしりと詰め込まれています。
昔初めて聞いた時は、おまけ的なレコードだなと感じていましたが、今ではこの3枚目が彼の超大作の価値をググっと上げていると強く感じます。
以上、ほんの一部の曲紹介となりましたが、ジョージ初の本格的ソロアルバム、まだの方は是非ご自分の耳でお確かめください。
最後に、この作品を残してくれたジョージ・ハリスンに心からの感謝を込めて拙文を終わります。 最後までお読みいただきありがとうございました。 P.coGa
The Shine Light Respectによるビートルズカバーはこちら↓ ↓ ↓ 良かったら、観てください!
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